判決理由の矛盾
昨日、過去最大の言論弾圧とされる「横浜事件」を巡る国賠訴訟で、1審に続いて
2審も国家賠償を認めない、「原告敗訴」の判断を下した。
被告人の有罪・無罪については、2005年に開始された再審で、2008年に、無罪に限
りなく近い「免訴」という形になっているが、事件当時の裁判記録が破棄されている
等したために、長期の再審闘争に及んだとして、国にあわせて1億3800万円の損
害賠償を求めていたものだ。
判決理由は、「当時は国家賠償をする法律が無かったから」というものだが、この
判決理由には矛盾を感じる。
最近話題になり、各自治体が調査を始めているものの、未だに被害者の人数すら把握
出来ていない、旧優生保護法に基づく不妊手術の問題だ。国が制定した誤った法律
で、無理やり体にメスを入れられ、子供が出来ないように手術をされてしまった皆さん
には、当然国が謝罪し、賠償する義務がある。本来であれば、元の体に戻すべきだ。
しかし、横浜事件の国賠に対する判決理由に倣うならば、旧優生保護法は、「当時は
その法律があったから」ということを理由に、国が賠償する必要は無いと言うことに
ならないか?水俣病やイタイイタイ病等の公害病でさえ、「当時は公害対策基本法が
無かった 」とすれば、原因企業の責任は問えなくなる。しかし、チッソをはじめとする
これらの原因企業は、原因の除去や、充分とは言えないが被害者に対する賠償を行って
おり、今度はそれらを取り返そうとする裁判を起こしても不思議ではない。
何しろチッソは、被害者に対する支援を打ち切ると表明して顰蹙を買うような企業だ。
そう言えば、太平洋戦争においても、国民は敗戦後に亡くした家族や焼かれた家、財産
について、国から何も賠償してもらっていない。
加えて、「昔の政府がやった事を、何故現在の政府が賠償するのか?」とも思う。
遥か昔の政府の失敗についての国家賠償は、現在の納税者が納めている税金だ。
これは、先日麻生太郎が発言した、「不摂生者の医療費を摂生している人が負担
するのはばからしい」発言にも通じるものであるが、それとはかなり違う。
不摂生は、本当にだらしない人以外は好き好んでやっているものではない。分り
易い例は、単身赴任のお父さんだ、職場の命令で家族とは離れて生活し、早朝から夜遅く
まで働いても給料は変わらないのに、僅かな手当てで生活費は二重にかかり、住宅ローンを払いながら、赴任先でも家賃負担!遅く帰宅すると食事は外食やコンビ二弁当・・・こ
れが不摂生の現状の一部だ。
判決の矛盾の最たる例は、農水省の諫早湾干拓問題で、潮受け堤防の開門を巡って
福岡と長崎では180度異なる判決が出され、国は板挟みになって、現在漁業者に対して
支払う10数億円の制裁金が発生しているが、判決理由には相互に矛盾が生じているはずだ。そう言えば、その制裁金も国民の税金だ。
このように、一つの判決理由について考えてみると、矛盾の連鎖が始まる。
また、かねてより言っているが、役所が問題を起こしたら、その役所が賠償する制度に
するべきだ。横浜事件では、当時の警察や政府関係者が手にした恩給等を吐き出して賠償に充てる!数々の冤罪事件では、失敗した警察職員が給料やボーナスを減額されて、賠償に充てる!年金機構も、数々の失敗の処理にかかった費用は、国民からの税金や保険料ではなく、自分たちの給料やボーナスで賄う!
公務員の失敗の賠償を、無関係の国民が払うのはばからしい! そうでしょう?麻生さん
三菱自動車や日産自動車、スバル、神戸製鋼などの民間企業は、全部そうしているぞ!
恐らくKYBの社員も数年間ボーナスなんて無いだろう。
何故、役人は無責任でぬくぬくといられるのだろう?そう言えば裁判官も公務員だな?
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。