それ、おかしいやろ? 一言物申すブログ

一言物申したいことに一言物申すブログです。

見積りの仕組み

お役所が何か作る際の費用について、どの様に発注価格を設定して
いるのか?
今日はそれに触れてみる。


役所は作ろうとするプラントについて、施工可能な複数のメーカーから
見積りを徴収する。
そのための資料には、設計コンサルタントが納品した成果品をベースに
作成され、見積り業者に配布される。


それを受けたメーカーは、それぞれ自社内で製作するもの、社外から
購入するもの、そしてそれを設置するための工事費を見積り、提出する
ことになる。


一覧にするとこんな感じ

役所は、それぞれの機器の中から、最安値を採用して設計価格とする。
この時点で各社が積算した価格と役所の積算価格が乖離する事になる。


それぞれの機器の寸法は各社によって異なるため、全体を纏めるための
配管の長さは機器が短ければ長く、長ければ短くなったりするのだが、
機器の寸法が短いメーカーの価格と、配管の長さが短いメーカーの価格を
採用しようがお構いなし!


また、メーカーの工場から現地までの輸送費は、工事費に含まれるのだが、
その現場から最寄の場所に工場を持つメーカーの輸送費が採用される。


例えば現場が大阪であった場合、中部や関東に工場を持つメーカーは、
当然自社工場からの輸送費を計上して工事費を積算するが、役所が採用
するのは近畿圏にある同業者の輸送費だ。


さらに、小さな配管や電機系統の配線材料などは、毎月発行されて書店で
販売されている「建設物価」の最新号をベースに単価が採用される。


建設物価に記載されている価格は、ある程度の数量を購入することを前提に
決まっているが、そんな大量に使用しない工事の材料費でさえ、大量購入の
単価×使用量で積算される。


また、作業員の労務単価も建設物価が指標となるが、これは過去に様々な
受注者が作業員に「いくら給料を払ったか」がベースになっているため、
給料以外の人件費が含まれていない。


もっと酷いのは、バブル全盛の頃、作業員の費用は急騰したが、役所は
「今までの実績」を口実に、作業員労務費の積算単価を上げなかった。
バブルが崩壊し、作業員単価が下がると、「不景気」を理由に作業員労務
単価を躊躇無く下げた。


結果、工事費だけを見ると、各社の見積価格の6割程度が役所の積算価格と
なり、入札の予定価格に盛り込まれる。


製品を作って設置する仕事を一括して請けて、トータルでカツカツの粗利が
出る程度なのが現実だ。


中国地方の某市は見積価格について、自社製品については財務諸表上で言う
製造原価、購入品ついてはその購入価格を書けとバカ丸出しの指示をする。
確かに見積りの最後に「一般管理費」名目で機器の10数%加算されるが、
ご覧のとおり、役所の勝手な積算基準で相殺されてしまうレベルだ。


民間企業はどの様に利益を出せと言うのか?


現在、オリンピック関連施設の工事で人件費が急騰するも、作業員費を安く
見積もる役所のために利益がでないことを理由に、入札参加者が無くて不調に
なる案件があるのもやむを得ない。


しかし、リニア関連工事の不正で名前が挙がったゼネコンは、工事に使用する
資材も、大口購入価格で、しかも自社の購買部門が納入業者にある程度無理を
言う力がある企業ばかりだ。


適正な利益を確保したいがための談合だったのか?