それ、おかしいやろ? 一言物申すブログ

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競争の仕組み

リニア中央新幹線の不正入札疑惑で、大林組に続いて鹿島が強制捜査を
受けている。



なぜ談合疑惑なのに一斉捜査に入らなかったのか?疑問だ


現在、JR各社の半数以上が完全民営化されているが、それでもJR社員は
「みなし公務員」として扱われているようだ。
更に、リニア中央新幹線は国営事業ではなく、JR東海が単独事業で行って
いるとは言え、国からの巨額の資金が入っている事は間違いない。
そこに利権が生まれる。
そうでなければ談合の疑いで東京地検特捜部は動かない。


民間企業が物を作る場合、自社で設計したものを自社で生産したり、委託
業者に生産委託するが、役所の場合はそうではない。
設計できる能力を持つ専門の技術者がいないからだ。


そこで、出てくるのが「建設コンサルタント」と言われる会社だ。
これは、住宅やマンション等を設計する設計事務所とは異なる。


役所はまず、この建設コンサルタント会社に「基本設計」を委託する。
業者は入札によって決められる。
ここでは、プラント建設現場の地盤や地形、周囲の環境を含めて、どの程度の
規模で、どの程度の能力を持った設備を作る必要があるのかが詳細に検討され、
その結果は成果品という形の報告書として納品される。


基本設計終了から1年から2年後に、今度は「実施設計」が発注される。
基本設計の報告を元に、中に納められる個々の機器の型式や能力が費用と
共に検討され、それも成果品と言う形で納品される。


面白いのは、基本設計と実施設計を落札する建設コンサルタント会社は異なると
いうことだ。


ここで既に基本設計と実施設計で2回の談合が行われている事が疑われる。


そして、このプラント内に納められる機器の落札業者を巡って、機器メーカー
の中で競争が繰り広げられる。


機器メーカーは実施設計を請け負った建設コンサルタント会社や、さらにその下請け
コンサルタント会社に、図面や仕様書作成、積算の仕事を設計協力という名目の役務
を無償で提供する事を目当てに営業活動を行う。


A社が設計協力した場合、当然A社には自社で作成した図面や仕様書のデータが
残る事になる。


こんな事を書くと、建設コンサルタント会社は不労所得を得ているように思われる
かも知れないが、実態は過労死が出るほど多忙だ。
一人で複数の物件を抱え、色々な無償下請け業者から上がってくる資料を、自社の
資料として纏めるのに膨大な時間を要する。


そして、いざ設備工事が発注された際に、業者同士の話し合いの場所でそれら
のデータが披露され、設計協力をしたと認められるA社が落札予定業者と合意される。
多くの業界ではこの落札予定業者のことを「チャンピオン」という隠語らしき
もので呼ばれている。


A社の営業担当者は、発注者である役所へ脚を運び、自社が設計協力している事を
それとなくPRするのも仕事のうちだが、酷い場合は「天の声」が発注者である役所を
通じて建設コンサルタントに及び、設計協力させる業者を指定してくることがある。


その後、入札執行までの間にチャンピオンに特段の問題が無ければ、そのまま
無事落札となり、天の声を発した人物にはチャンピオンからそれなりの報酬が
入ることになる。


このように、談合はただ順番を待つだけではなく、水面下では競争が行われて
いることも多々ある。


これとは別に、積算に関わる見積りの話もあるが、それは別の機会に。


それにしても、鹿島への強制捜査のニュース速報が流れたので、ネットで画像
検索すると、1ページ目は全部この手の画像・・・
世も末だ。